本年は正に桜満開のもと、多数の来賓、保護者の皆様をお迎えしてここに本校入学式を挙行させていただくことができますことは大きな喜びでございます。
来賓の皆様には、年度初めのご多用中のところ、ご臨席を賜り誠にありがとうございます。高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。
また、保護者の皆様におかれましては、お子様の本校へのご入学誠におめでとうございます。
真新しい制服に身をつつんだお子様の姿にさぞ喜びの気持ちもひとしおのことと推察いたします。
お預かりしたお子様を3年間、学校あげてしっかりと育てさせていただきます。
今後様ざまなお願いなどさせていただくこともあろうかと思いますが、何卒本校教育活動にご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
さて、280名の新入生の皆さん、改めまして入学おめでとうございます。
ようこそ泗商へきていただきました。心から歓迎いたします。
9年間の義務教育を終えた皆さんは、これから始まる高校生活への大きな期待や希望をもって今ここに座っていることと思います。
もちろん、まだまだ分からないことも多く不安な部分もあるでしょうが、大丈夫です。
上級生や職員、そして家族の方々、みんなあなた方を応援し支えていきます。安心して泗商生としての生活をスタートさせましょう。
さて、みなさんは高校生活を通じてどのような力を身につけていくべきなのでしょうか。
今年も4月1日には各企業の入社式の模様がテレビや新聞などのメディアで紹介されていました。
今のこの時代、社会に求められるものとは何なのでしょうか。トップリーダーたちは新入社員を前に何を語ったのでしょうか。
トヨタ自動車の豊田章男社長は2151人の新入社員を前に、「挑戦しなければ自分たちの未来はない。新しいトヨタの歴史を作ることが皆さんの使命だ」と語りました。パナソニックの津賀一宏社長は「既存の領域や発想で生き残るには限界がある。失敗を恐れず挑戦してほしい」と780名の新入社員に檄をとばしました。今時代は変革や挑戦する人材を求めています。経済産業省も10年ほど前から「社会人基礎力」というのを提唱しています。社会で力を発揮するためには基礎学力や専門知識が必要なのは言うまでもありませんが、それをうまく活用するには、この社会人基礎力を意識的に育成することが現代社会ではより求められるとしています。そして、経済産業省はその社会人基礎力として「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力を挙げています。
ではどうすればこういった力がついていくのでしょうか。皆さんに高校生活を始める上で望みたいことは、
一歩前へ、です。
今までの自分より一歩前へ進んでもらいたい。皆さん一人ひとりにはそれぞれ、あなたにしかない素晴らしい面が必ずやあります。
が、しかし、同時に少し自分で修正したいところや、もっと伸ばしたい面が誰にもあるのではないかと思います。
是非そこに挑戦をしてもらいたいと思うのです。もし分からないという人がいるのであれば、今日考えてみてください。
自分の全てに満足しているということはないはずです。今までの自分に満足せず、自分の改革を実践してください。
簡単なことではありませんが、この高校入学という大きな節目の時こそチャンスなのです。
今まで無理だと思っていたことにもぜひ挑み、そして一回りも二回りもこの3年間で成長して社会へ羽ばたいてください。
このように変動する時代の要請に応じ、挑戦し変革していくことを求める一方で、常に普遍的に大切にしていかねばならないものもあります。
本校には校訓として掲げる「至誠」という精神があります。
至誠というのは極めて誠実であることとを意味し、かの吉田松陰が「至誠にして動かざるものいまだこれあらざるなり」、
つまり誠の心をもって尽くせば、動かなかった人は今までにはいない、という言葉が有名です。
この言葉に代表されるように本校は人としての基本をしっかり身につけることも大切にしています。
皆さんも上級生になると配布される「卒業生からのメッセージ」という小冊子があります。
こちらには実際に就職や進学をした67名の先輩からのメッセージが掲載されています。
多くの卒業生がその中で、きちんとした言葉遣いやマナーを身につけておくことの重要性を説いています。
本校の週番や風紀の制度、日々行われている挨拶、四日市駅でバスを並んで待つマナー、等々、皆さんもしっかりと受け継いでいってもらうと共に、
皆さん一人ひとりの中にきちんと至誠の精神が根付いてもらいたいと思っています。
泗商は昨年度120周年を迎え、卒業生も3万人に迫らんとする伝統校です。
永年に渡る卒業生の活躍などにより、本校は地域からも評価をいただき大切にしていただいている学校です。
今日から皆さんも泗商ファミリーの仲間入りです。しっかりと誇りをもってその一員となってもらいたいと思います。
ただし、泗商とて、伝統にあぐらをかいているわけにはいきません。
皆さん一人ひとりの一歩前へと共に泗商も挑戦や進化を進めていかねばなりません。
皆さんの高校生活が充実した素晴らしい3年間になること、そして泗商もより素晴らしい学園となることを祈念し私のことばといたします。
第35代校長 鳥井 誠司
平成29年4月10日